Mr.SODA氏の納車整備です。
こちらの車両を題材に、当店販売のBMWの納車整備をご紹介します。
まずはお約束のエアクリーナー、バッテリーを交換。
新品バッテリーを付けたら発電電圧もチェックします。問題あれば発電系をチェックします。
オイルフィルターを交換し、オイルを交換。納車の季節に合わせた粘度を選択しています。
もちろん、ミッション、シャフト、デフオイルも交換。
リア回りを分解。
ブレーキシューをバラシてチェック、清掃、面取り。
ライニングの残量が少なければ交換します。
ドラム側も清掃&チェック。
リアサスは一度外して取り付け部を清掃&グリスアップ。
デフのシール類からのオイル漏れもチェックし、漏れがあるようならシール交換します。
スイングアームセンターをチェックしたら、スイングアームピボットにグリスを充填。
ここはテーパーローラーベアリングなので、イニシャルを規定値かけてロックナットを締め込みますが、イニシャルのかけ具合によってはスイングしないスイングアームになってしまいます。
ブレーキカムも分解し、清掃、グリスアップ。
ブレーキフィーリングが向上します。
ここの動きが渋い中古車は多いです。
リア回りが終了したらフロント回りを分解。
ハンドリングや操縦安定性が大きく左右されるステム回りは必ず分解しチェック。
新車時から整備されていない車両も多数見られます。
ほとんどの中古車はご覧のような状態。
スムーズなセルフステアが妨げられ、乗りにくい状態です。
BMWは癖がある、といわれるのはこのあたりの整備不良が原因のことが多いです。
正規の状態であれば大変乗りやすいバイクなのです。
新品ベアリングを組込み、グリスを充填します。
フレーム側のベアリングアウターを外すには特殊工具が必要です。
こちらももちろん交換。
ステムナットの締め具合もハンドリングを大きく左右しますので、何度か調整します。
フロントフォークはシールをチェックし、ダメなら交換。
オイルはもちろん交換。
リアサスが純正の場合と、社外品の場合でオイルを選択しています。
フロントホイールのベアリングをチェック。
モノレバーになってからは一般的なベアリングです。
2本サス系の場合はテーパーローラーなので、
ベアリングのディスタンスをシムで調整する必要があります。
フロントブレーキの整備です。
パッド、ダストシールを外してキャリパーピストンを洗浄。
グリスを少量塗布してピストンを動かしスムーズな可動に戻します。ダメな場合はキャリパーをオーバーホールします。
パッドは残量が有れば面取り、及び裏面の清掃、パッドグリス塗布後組み付け。
残量が少ない場合は交換。
パッドピンはサビを落としてグリスアップし組み付けます。
キャブレターは全車両オーバーホールします。
チョーク、バタフライバルブ等も全て分解してオーバーホールしないと、完調にはなりません。
ちなみにバタフライバルブ固定のビスはカシメてあります。ここがナメていたり、チョーク部分の組み付けが間違っていたりと、いろいろな中古車がありますが、すべて正規な状態にリセットします。
キャブとエンジンをつなぐゴムインシュレータも必ず交換します。
写真にありませんが、燃料コックも分解しシール類を交換。
プラグを新品に交換し、点火時期を調整してから、キャブの同調&セッティングを行ないます。
ヘッドの調整です。(写真はスラッシュ)
ロッカーアームのベアリングをチェックしOKであれば
スラストクリアランスを調整しつつヘッドボルトを規定トルクで締め付け。
ロッカーアームシャフト等の組み付けミスがある中古車も多数見られますがこれらもリセットします。最後にバルブクリアランスを調整し、新品ヘッドカバーガスケットを使いカバーを取り付けます。
ヘッドカバーのセンターのスタッドボルトが抜けてしまう車両も多いのですが、
その場合はリコイルにてネジ山修正後に組み付けです。
実走テストにて煙吹き等が見られた場合は腰上OHすることも多々あります。
たいがいが、リング摩耗とバルブガイド摩耗が原因。バルブステムの摩耗も多いですが、
その辺りも全て計測し正常な状態に戻してから納車します。
大きいところですと大体このくらいの内容が納車整備となります。
他にもレバーやワイヤー類のチェック&交換、灯火類、発電系もチェックし、
問題があればリセット作業を行ないます。
ここまでやればBMW本来の乗り味を堪能していただけます。
逆に、ここまでやっていない中古車は、本来のBMWの性能を発揮していない場合が多いのです。