January 30, 2012 メンテ&修理&小カスタム
リチウムイオンバッテリーとの適合
Shoraiバッテリー等のリチウムイオンバッテリーが話題になっており、当店にもお問い合わせを多くいただきます。バッテリーメーカーや発電機メーカー等とやりとりをし、論理的に解析しましたので、ここでお伝えいたします。
純正発電系との組み合わせ
まず、BMWやモトグッツィ(1990年くらいまでのBosch製3相交流タイプ)にリチウムイオンバッテリーを使用する場合、上記組み合わせ及び同タイプの400w発電器との組み合わせは、通常の鉛バッテリーを使用した時と比較して、バッテリー上がりの可能性が高くなると考えられます。健全な鉛バッテリーの端子電圧は12.8V、リチウムイオンバッテリーは13.2Vです。アイドリング付近で発電せず、3000回転以上で13V強となる純正発電器とリチウムイオンバッテリーを組み合わせた場合、鉛バッテリーよりも放電率が高くなり、同条件の使用ではバッテリー上がりの可能性が上がります。(バッテリー端子電圧より発電電圧が高くなって初めてバッテリーは充電されるため。) ですので、この組み合わせは当店ではオススメしません。又、バッテリーメーカーのサイトでは、2VのBMWやモトグッツィも適合表に記載されておりますが、アメリカの使用環境ですと(ストップ&ゴーが少なく、フリーウエイの高速巡航が多い)あまり問題にならないため、と考えられます。尚、自然放電はリチウムイオンバッテリーの方が少ないので、乗らない期間が長かった場合の再始動性はリチウムイオンの方がよいですが、走行中の放電は上記組み合わせの場合リチウムイオンの方が多く、バッテリー上がりの可能性が上がります。
エンデュララストオルタネータとの組み合わせ
当店が日本代理店となっておりますエンデュララストオルタネータキットは、90年代のドゥカティのコンポーネンツを使用しBMWやモトグッツィに取付け可能としたキットです。内容はドゥカティのものと同一となります。このあたりのドゥカティはユーザーさんが多数リチウムイオンバッテリーを使用し実績もあり、バッテリーメーカー及び日本総代理店も推奨しております。そもそもアイドリング付近で13V強、レギュレート電圧設定が14.2Vというエンデュララストオルタネーターのスペックは、リチウムイオンバッテリーに最適な発電系と言えます。
過充電について
エンデュララストオルタネータに関するお問い合わせで、過充電に関するものがたまにあります。発電系に問題がなく取付けも問題ない場合で、過充電気味になるのは、バッテリーの寿命が近い、バッテリーが健全でない場合に起こります。バッテリーが劣化すると内部抵抗が上がり、発電系からの電圧が必然的に高くなるからです。(V=IR) 健全なバッテリーに交換することで正規の14.2Vでレギュレートされます。リチウムイオンバッテリーの場合も同様で、健全なリチウムイオンバッテリーであれば問題ありません。ちなみにリチウムイオンバッテリ−の許容する最大電圧はメーカーにより14.6〜14.8Vとなります。
万一のトラブルの場合
例えば万が一、レギュレータが壊れる等で過充電となった場合、リチウムイオンバッテリーは最悪の場合でも多少ケースが膨張しバッテリーとしての機能を失う程度で、例えば鉛バッテリーのように爆発するようなことはないと考えられます。そもそも爆発の要因であるガスが発生しないバッテリーだからです。(バッテリーメーカー談)
エンデュララストのメーカーが保証しない理由
エンデュララストオルタネータキットを製造するユーロモトエレクトリック社では、リチウムイオンバッテリーとは適合しない、としています。小さな会社であるユーロモトエレクトリック社は、まだ実績が1年強であるリチウムイオンバッテリーを保証適合とするにはリスクがあると考えての記載です。従来型からもそうですが、バッテリーにはある程度不良品も混在します。そうした商品であるバッテリーを、まだ出て実績が少ないリチウムイオンまでも適合保証してしまうと、小さな会社としてはリスクがあるとして、そのように記載しているとのことです。当店では日本代理店として、上記のような理論的な解析と合わせ、スタッフの通勤バイクでの実地テストを行っておりますので、結果は追ってご報告いたします。
保証について
当店販売のエンデュララストオルタネーターは1年間の保証をお付けしております。日本代理店としては、リチウムイオンバッテリーと組み合わせた場合でも、発電系に関しては販売から1年の保証をいたします。(平行輸入品、個人売買等で当社保証書がない場合は無効) バッテリーについてはバッテリーメーカーの保証制度をご利用ください。