March 23, 2010 プライベート&staff
母のミシン
どうやら母が嫁入り道具として持ってきたらしいこのミシンは、少なくとも45年以上前のものだ。今はなきリッカーというミシンメーカーの製品。僕が子供のころ、母はよくこれで雑巾を縫ったり、ズボンの裾上げをしていた。今見ると、ダイキャストのボディは重厚で、高品質な塗装は50年近い歳月をも感じさせない美しさを保っている。なにしろ今のプラスチックなミシンとは比較にならないデザインの良さが魅力的で、メカ好きの目を楽しませてくれる。
母はとても元気な人で、70歳を目前にしてなお、電車に乗り遅れそうになればダッシュし、携帯でシャメを送り、パソコンでネットやワープロを使いこなしていた。その日も、生まれたばかりの僕の娘に会いに、我が家へ遊びに来ていた。散々孫を抱き、夜も遅くなってきたので泊まっていけと勧めるも、「明日は朝から用事があるから」と、夜遅くに電車で帰っていった。
無理にでも泊まっていかせればよかったのだが、次に母に会ったのは、病院だった。我が家から帰った晩に倒れ、ケガもしていた。駆けつけた家族を心配させまいと、目も開けず口も利けないのに、元気だと言わんばかりに、両手を振っていた。
今年は母の三回忌だ。娘も2歳になり、4月から新しい保育園に通う。保育園で使う手提げ袋や布団カバーを、この形見のミシンで作ってもらうことにした。使い難いと思うのだが、妻は大層このミシンが気に入った様子だ。
持ち帰ったミシンを掃除し、電源を入れてみる。スイッチを踏むと、幼い頃よく聞いたミシンの音が聞こえてきた。その音を聞いて、母の思い出が、溢れてきた。
コメント
いいデザイン、いい色、古いアメ車みたい。
そして、とてもいいお話しです。
飾っておきたい感じですが、古い物も使ってこそですね、
しかもこんな風な使い方、最高です。
実家にも確か古い足踏式ミシンがあったなぁ。
投稿日: maruten | March 24, 2010 12:45 AM
わぁ、なつかしいリッカーだね
これ当時はかなりの高級品だよ
大事に使ってあげてください
やっぱさ70年代以前ものって
たいてい一生モノってかんじだよね
もち、メンテナンスが大事なんだ
うちの工場のミシンはほとんど戦前のものなんだよね
メンテナンスしてくれる職人がいるからさ
それがとても大事、むかしの街の電気みたいにね
だからかな、ぼくはリトモが好きだし
同じ臭いを感じるんだよね~
旧いものをベースに常に進化し続ける
これとても大事だよね
投稿日: やまざき | March 24, 2010 1:04 AM
ウルウルです。歳のせいかもろいです。
私の母はまだ元気でいてくれるので
親孝行します。
投稿日: h.kawa | March 24, 2010 4:34 AM
歳食うとこういうのダメッスね。
涙で視界が歪んで
真っ直ぐラインが引けません。。。
投稿日: 色師宗正 | March 24, 2010 8:53 AM
色々な想いがこみ上げてきました・・・
ある冷たい雨の春の日
投稿日: こうしLAW | March 24, 2010 10:21 AM
とても味のあるミシンですね。
私も母から譲り受けたミシンで専門学校時代に課題を制作していました。
かなり古いミシンで使い勝手は良くなかったのですが、同じようにミシンの音を耳にすると幼少時代を思い出します。
残念なことに私はミシンを処分してしまいました。
これからも大切になさってください。
とても良い日記をありがとうございました。
投稿日: まきの弟 | March 24, 2010 11:31 AM
車やバイクも含め、後世に遺せる機械はよいですね。記事を読んで自分の母親のことをしばらく考えてしまいました。健在ですけど。。
洋裁一筋の母親はいつもミシンを踏んでいました。昔は大きなフライホイールの付いた足踏み式に動力を追加したやつ使ってたな~。ほこりまみれの作業部屋で遊んだり落ちてる針をひろったりしてましたが、いまじゃ考えられないですね(笑)
自分のこと書いてすいません。親孝行します。
投稿日: suzuki | March 24, 2010 4:49 PM
marutenさん>>そうなんです、なかなかいいですよね。昔見てた時はなんとも思わなかったのに。足踏みは、さらに難易度高そうですよね。
やまざきさん>>高級品だったんですか? 当時は、独自の割賦制度があったとか。大事にします。やまざきさんのコメント、訳詩みたいでステキです。
h.kawaさん>>親孝行って、なぜか難しいですよね。
muneさん>>うちのオーダー分のラインは、真っ直ぐでお願いします。
こうしLAWさん>>なぜ詩的?
まきのさん>>そうでした、服飾関係でしたね。音や臭いって、昔を思い出すきっかけになりますよね。
suzukiさん>>そうですね。物って、直せば直る物がいいですよね。マイコン搭載は、ちょっと直せないですもんね。お母さんもスノボに連れてってあげてください。
投稿日: ritmo-nakajima | March 24, 2010 10:19 PM
ウチにも母の形見の45年物のジャノメのミシンがあります。去年まで元気に働いていたんですが、足踏みスイッチが
いかれたらしく動かなくなってしまいました。今ではもうパーツが無いので、直そうとするとミシンが一台買えそうな値段になるそうです。孫たちの物もいっぱい縫ってくれたミシン。どうするか思案ちゅうです・・・。このミシンに姿形が良く似ていてつい書き込んでしまいました^^
投稿日: ちゅう | March 25, 2010 12:58 AM
親孝行頑張ってますが、絶対足りなくて後悔しちゃう気がしてます。バイクの修理をするたびに「親不孝ものめ!」って言われますが…^^;
ミシンの思い出はばあちゃんのミシンです。台と一体型?で両足でシーソーみたいに踏み踏みするやつです。どんだけ早くミシンを動かせるかって遊びがマイブームでした。引っ越したら貰ってこようかと思ってます。
投稿日: hashimoto | March 25, 2010 3:39 PM
うん、いい話だ。俺んとこも3回忌。
上京の際に持たされた中古のリッカーのミシンは3ヶ月後に質屋に流した。その金で酒飲んだ。
息子が小学校で使う手提げ袋や靴袋や本袋、俺が作ったなぁ。
14ozの赤耳付きのデニムをキルティング、裏はギンガムチェックで口はレザーのパイピング。6年もちました。んで今日卒業式。俺の作ったスーツ着て。
投稿日: S | March 25, 2010 7:24 PM
ちゅうさん>>スイッチ部なら単純なので簡単に直りそうですが、けっこうかかっちゃいますね。秋葉原でパーツ買って自前修理がいいかもしれません。
hashimotoさん>>足踏みの早回し、俺もやったなー。
Sさん>>飲んじゃまずいでしょ~。息子さん、かっこいいバックでうらやましいっす。今度ミシンのテク教えてください。
投稿日: ritmo-nakajima | March 30, 2010 9:13 AM